レトロタイプソフビの世界で使用される用語を簡単に解説しています。
 注)Quanto No.266(2011年6月号)怪獣ソフビ想い出アルバム!!に掲載した文章に加筆修正して使用しています。

【ソフビ(そふび)】

 正式名称は、ソフトビニール(Soft Vinyl)。プラスチックの一種で、ポリ塩化ビニールなどの軟質のものをさす。
 同じ材料でも、中が空洞ではない硬質のおもちゃなどに使われているものは、塩ビと呼ばれる。


【レトロタイプ(れとろたいぷ)】

 旧マルサン商店、旧ブルマァクなどが製造した、昔の怪獣ソフビのテイストで新たに作られているものの総称。
 マルブルタイプとも呼ばれる。


【金型(かながた)】

 ソフビを作るための金属製の型。この中に、高温で溶かして液状になったソフビを流し込んで成型する。

金型に液状になったソフビを流し込むところ。


【元型(もとがた)】

 原型から最初に起こした金型のこと。


【生産型(せいさんがた)】

 同じ製品を大量生産するために、元型より作られた製品を使って起こした金型。量産型・作業型などとも呼ばれる。
旧マルサン商店、旧ブルマァク当時の製品は生産型を使用しているが、ごくまれに元型より作られた製品があり、そちらは通常品よりひと回り大きいので見分けがつく。

ギャンゴは原型がシッポのある状態で造形されたまま元型が作られ、生産型の段階で改修されているために、当時の生産型の数だけシッポのバリエーションが存在する。


【ワックス原型(わっくすげんけい)】

 怪獣ソフビはまず粘土で原型を作り、金型を製造するために、その粘土原型を熱で溶けるワックス(蝋のような)に複製します。このワックスに起き変わったものを、ワックス原型、または蝋型と言います。
 このワックス原型(蝋型)に金属イオンを吹き付け、銅メッキして金型を作成します。
 原型師によっては、粘土を使わず最初からワックスで原型を作る人も存在する。


【新復刻版(しんふっこくばん)】

 「ブルマァクの復刻怪獣シリーズ」で、当時の金型が現存しない場合、現存するオリジナルソフビから、新たに金型を起こしたもの。そのため、オリジナルよりひと回り小さく、モールドも甘くなっている。

ガンダーのオリジナル(右)と、新復刻版(左)のサイズ違い。


【スタンダードサイズ(すたんだーどさいず)】

 旧マルサン商店が最初に作った怪獣ソフビのサイズ(全高約23cm前後)。
その後、旧ブルマァクよりミニ、ミドル、大、特大、ジャイアントなどの新しいサイズも作られた。レトロタイプは、現在もこのスタンダードサイズを中心に展開している。旧ブルマァクの「ウルトラマンレオ」シリーズは、スタンダードサイズが新規格として全高約20cmとひと回り小ぶりなものになる。
 またポピーの「キングザウルスシリーズ」やバンダイの「ウルトラ怪獣シリーズ」は全高約16cm前後となり、2013年から現在も続く新しいバンダイの「ウルトラ怪獣シリーズ」は、もうひと回り小さい全高13cmになっています。

ブルマァクのスタンダードサイズのウルトラ怪獣の中で最大がギロン人(右)、最小がアリブンタ(左)。なぜか「ウルトラマンA」の同じ話に登場する超獣!中心のカメレキングが平均的なスタンダードサイズです。


【補完計画(ほかんけいかく)】

 1990年にM1号より発売されたケムール人をスタートに、旧マルサン商店や旧ブルマァクで発売されなかった、ウルトラ怪獣を当時のテイストで新たに作っていく流れ。何社かのメーカーの尽力により、現在は当ホームページに掲載されるように「ウルトラマン」から「ウルトラマンA」までは、ほぼ完結に近く「ウルトラマンタロウ」「ウルトラマンレオ」もかなりの数まで進んでいます。最近は「ウルトラマンティガ」の怪獣や「ニュージェネレーションヒーロー」の新しいウルトラマンもレトロタイプソフビ化されています。

旧ブルマァク当時にスタンダードサイズが発売されず、ジャイアント(特大)サイズとミニサイズしか発売されなかったドラコとラゴンも、ベアモデルから当時のジャイアントサイズを上手くリスペクトしたスタンダードサイズが発売さています。


【可塑剤(かそざい)】

 ソフビの素材を柔らかくし、柔軟性を強くする薬品。可塑剤の利用により、複雑な造形も金型より抜きやすくなるという利点もあるそうです。
 時間がたったソフビに見られる表面のベタつきは、可塑剤が染み出しているのが原因と言われています。この現象は、販売時のビニール袋に入ったままのソフビに顕著に見られるので、新しく購入した怪獣ソフビは、袋から出して遊んだ後、風通しの良いところで保管してください。


【嵌着(かんちゃく)】

 首や腕、脚などパーツ同士の接合部。間着と書かれることもある。


【成型色(せいけいしょく)】

 怪獣を形作るソフビの素材そのものの色。同じ怪獣でも、この成型色の違いで、まったく別のイメージに仕上がるものもあるので、これを集めるのも、ソフビコレクターの楽しみのひとつです。


【くるみ塗装(くるみとそう)】

 成型色を覆う様に全体を塗料でくるんだ状態。以前ブルマァクのイシヅキさんからお聞きしたのですが、昔は少数生産の場合、ソフビの原料そのものに色を付けるより、成型したソフビ全体を塗装で色付けする方がコスト的にやすかったそうです。そのため旧ブルマァク末期の商品や輸出版とされる少数生産のものに、くるみ塗装が多く見られます。そのためくるみ塗装の怪獣は、どれも人気のあるものになっています。
 最近は、くるみ塗装の商品が多く、逆にくるみ塗装の希少性のイメージが薄れてきている感じがして...


【棒突き(ぼうづき)】

 筆などのお尻の部分や、ガラス棒などに塗料をつけ、表面張力を利用し、瞳を書き込むこと。
 かなりの技術を要し、これぞ一撃必殺のプロの技。


【マスク(ますく)】

 瞳や細かい模様などをスプレーするときに使用する型。


【緑青(ろくしょう)】

 銅が酸化し、化学変化により発生する青緑色の錆のこと。
 怪獣ソフビでは、銅が金色の塗料に含まれるためによく見られる。これは材質的に起きてしまう仕方のない現象なので、怪獣ソフビが長年生きてきた証として、この変化も楽しんで欲しいと思います。
 旧マルサン商店のレッドキングやドドンゴなどは、緑青により逆に風合いが出てかっこいいと思うのですが。
 最近の商品は、塗料の進歩やメーカーの努力により、緑青化しにくくなっています。

体の金色スプレーが緑青かしたドドンゴ。発売直後の金色スプレーも綺麗と思いますが、この緑青化した状態が、ミイラ怪獣らしく長い歴史を生きてきたソフビでないと出せないオーラが出ている気がします。


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