それは、みんなが生まれる前、お父さんがまだ子供のころのお話じゃ。1990年夏、ある特撮雑誌に小さな写真が掲載された。そこには、「M1号のケムール人(一期)8月ワンダーフェスティバル展示」と書かれておった。当時は、「ウルトラマンG」や「ゴジラVSビオランテ」などが作られ、特撮作品が見直されてきた時代じゃ。おもちゃの世界では、ホンモノそっくりのリアルな物が人気じゃった。そんな時代に、突如リアルとかけ離れた、まるで昔のマルサン、ブルマァクのようなレトロなデザインのケムール人が発売!?博士は「懐かしい感じだなぁ」と思ったものの、今、コレが売れるのかなぁ?と心配しておった。そして、1990年冬、「一期、二期、各限定300個、定価3,000円」と書かれたM1号の広告が大きく発表されたのじゃ。いやぁ、それからの勢いは、博士の心配はよそに、とんでもなく大きな波になったのじゃ。
 あれから20年、途絶えることなく進化し続けるレトロタイプ怪獣ソフビ。すべては、このケムール人がスタートなのじゃよ。M1号代表の西村祐次氏が仕掛けた怪獣ソフビ『ルネッサンス』は、今年成人式を迎え、『おもちゃからアートへ』ますます発展するはずじゃ。
 注)Quanto No.279(2012年2月号)KAIJYU一直線!に掲載した文章を、原文のまま使用しています。

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